オタク文化と同一性拡散

 こんにちは。GGのライブをきっかけに再び心理学に興味を持ち始めた玲音(レイン)です。(イマジナリー読者に向けて)突然ですが、思い出したくない辛い過去を皆さんはどのように克服してきましたか。私はずっとそれを引きづって生きてきました笑。しかし、社会人になってある程度今の生活に順応してきた中で、思い出さないようにしてきた学生時代(特に小学生高学年~中学生当たり)特有の内面や歪な心理状態(笑)を分析していきたいと思うようになりました。今回のブログでは、思春期~青年期の精神世界の形成に影響を及ぼしたオタク文化について書こうと思います。

※あくまで個人の見解です。感想文以上学部生のレポート未満の内容な為、客観的な視点はゼロです(笑)。

※確認はしましたが、誤字脱字が恐らくあります。ご了承ください。

 

【はじめに】

 まず、筆者が語る「オタク文化」の範囲を示します。ここでは、90年代~00年(一部10年代前半)のアニメやアキシブ系的楽曲*1を指します。当時はまだ、2chニコニコ動画が息をしていた頃です。ホビーオフで買ったエンターブレインfengなどのノベルゲームソフトを悪友と貸し借りしながら、某球団や団体の悪口を掲示板に書き込んでケラケラと笑うどうしようもないガキんちょでした(笑)

 

オタク文化に対する認識】

 私はオタク文化をアルコールのようなものと考えています。なぜなら、適量であれば、程よい快楽を味わえますが、過剰摂取すると現実逃避的になり、日常生活に支障をきたすからです。リアルが充実しているとオタクコンテンツの摂取量は減り、問題を抱えていると摂取量が増えるという感じです。(小中学生の反動で高校時代は、かったぱしからオタク的コンテンツを否定しました。「快楽主義的且つ動物的で俗世間的欲望にまみれている!」と。笑)

 エリクソン*2の心理社会的発達理論*3によると思春期・青年期は自我の確立による自我同一性*4を獲得する時期だそうです。対人関係の中で、自己理解を深めつつ、役割的自己*5や異性との関わり方(オタクは特にここが弱い笑)の問題を解決する必要があり、未解決のまま年を取ると、自己のイメージと現実が不一致*6な為、自己のアイデンティティに対して、混乱が生じます。

 例えば、学校や企業等での成績不振が続き、嫌味を言われても言い返せない状態が続いている人は自身が力を発揮して周囲を服従させるようなコンテンツにのめり込むかもしれません。異性との関わりが希薄で一種のシンデレラコンプレックス*7を拗らせている人は乙女ゲーム美少女ゲームにハマるかもしれません。このような同一性拡散に対しての投影*8オタク文化の本質だと思うのです。「オタクコンテンツが好きなんだけど、それにハマっている時間は良い状態ではない。」GGの楽曲と同じです。

 

【前向きな投影ができる作品「CLANNAD・after story」】

 話しがかなり変わります。(オタク文化についていっちょ前に語っておきながら、)最近、CLANNAD*9をアプリ版で初めて履修しました。

play.google.com

20代の野郎の顔がぐしゃぐしゃになるくらい泣きました。非常に切ないけれど、心温まるストーリーです。ちなみに作品の概要や解釈についてはこの方のブログが大変好きで、私が感想を書くよりも100倍理解できるはずです。

CLANNADの考察・解釈レポート(心理学的視点から) ネット功徳な日々

 ↑のブログを読んだ又は他の媒体である程度作品の概要を知った前提で話しを進めます。CLANNADは、美少女ゲームユーザー(異性との関わり方が原因で同一性拡散に陥った野郎※私の偏見ですが、あながち的外れでないと思います。)の自己イメージと現実とのギャップに折り合いを付けさせるだけでなく、次の発達段階(青年期~30歳まで)の「親密性」*10を獲得する上での手掛かりを示していると言えます。岡崎朋也がなりふり構わず電気工事会社に就職して渚の為に働く場面や汐の出産と引き換えに渚を亡くしてしまう場面、「汐」と旅行に出かける場面などは、自分の殻に閉じこもる為の投影ではなく、「私も岡崎朋也のように無我夢中になってがむしゃらに生きたい」という前向きな投影をプレイヤーに与えると思います。(少なくとも私は与えられました笑)

 

オタク文化との向き合い方】

 繰り返しになりますが、オタク文化は現実世界での悩み事を仮想世界を通してカモフラージュさせたい人の願望が発展させたものだと考えています。小中学生の私は、失われたアイデンティティを守る為にオタクコンテンツを過剰摂取し、そんな自分が嫌になった高校時代は反動形成でオタクコンテンツを全否定する立場を取りました。大学時代になると友人との話しについていくため(類は友を呼ぶので)に程よく摂取し、社会人になってからは、懐古趣味色が強くなり、過去に未履修のままだった作品を摂取しています。

 オタクコンテンツをリアルの人間とのコミュニケーションツールとして利用することは良いこともしれませんが、1人で自己完結できてしまうコンテンツは、基本的に害しかないと思います。そう分かっていながらも現実とのギャップを埋め、精神を安定させる為には摂取するしかないのです。CLANNADは現実逃避しながらも、ユーザーを現実世界に導く珍しい作品です。これからは「オタクコンテンツを防御機制の道具としてではなく、前に進む為のツールとして捉える」という意識を持って消費していきたいです。

*1:音楽ジャンルの一種。小沢健二ピチカートファイブをはじめとする90年代に流行した「渋谷系」とデ・ジ・キャラットなどの「萌え」が特徴の「アキバ系」の要素を組み合わせているのが特徴。Round Table feat.Ninoがオススメです。

*2:ドイツ生まれの発達心理学

*3:ライフサイクル論とも言う

*4:理想と現実が一致している。又は折り合いを付けられている状態

*5:各コミュニティ(例:学生or企業、家族、友人など)における自分の立ち位置とその役割のことと筆者は理解しています。

*6:同一性拡散

*7:不遇にあるシンデレラが外部から来る何らかのきっかけ(白馬の王子様)によって人生が好転するのを待ち続けている様子から、男性への理想が高く、人生を王子様に任せ、守られたいという心理状態。男性側でも勿論ある。

*8:心理的安定を維持・回復させる為に無意識のうちに取る防御機制の一種。この場合自分の感情、態度や特性を他者に見出し転嫁しようとすることで、自我を守っている。

*9:「key」作品の一種。恋愛アドベンチャーゲームでありながら、感動できることから、「泣きゲー」と言われている。」

*10:配偶者や子供などの他者へ愛情を注ぐ能力のこと